@misc{oai:repo.qst.go.jp:00064070, author = {鶴岡, 千鶴 and 鶴岡 千鶴}, month = {Sep}, note = {近年、宇宙飛行士の国際宇宙ステーションへの長期滞在が盛んに行われ、さらには今後の火星等への惑星間宇宙飛行を想定した時、宇宙放射線被曝による人体への影響を無視することは出来ない。この宇宙放射線の生物影響を考えた時に様々種類の放射線による生物効果を詳細に明らかにすることが必要であり、特にX線やガンマ線の様な低線エネルギー付与(LET: Linear Energy Transfer)放射線である電磁波放射線に比べ高い生物影響を示すことが知られている高LET放射線である粒子放射線の生物効果を明らかにすることが重要である。また1980年後半以降、哺乳動物培養細胞や酵母菌の致死効果あるいは培養細胞のDNA鎖切断における生物学的効果比(RBE: Relative Biological Effectiveness)とLETの関係を調べた結果から、同様のLET値の粒子放射線であっても加速核種が異なると生物効果も異なることが報告されてきた。  我々はこれまでにこの加速核種の違う粒子放射線による生物効果の違いが、照射直後に観察したクロマチン損傷誘発頻度には見られず、照射24時間後に観察した修復されずに残っているクロマチン損傷誘発頻度及び細胞致死効果にのみ見られる現象であることを報告した。これらのことから加速核種が異なると生物効果も異なるという現象は、照射後何らかの修復過程が行われる間に生物効果の違いとして現れてくる現象であると考えられる。(Tsuruoka et al. Radiation Research, 163,494-500,2005, Tsuruoka et al. Radiation Research, 170,163-171,2008)。  そこで我々は、これまでに報告した照射後数時間から数日の短時間で引き起こされる生物効果ではなく、放射線被曝後数年から数十年間を経て人体影響として現れてくる可能性のある生き残りながら正常の状態とは異なる変異を有する細胞に変化する生物効果と放射線の線質の違いの関係について明らかにした。生物効果は、X線及び鉄イオンで誘発されたhprt遺伝子座における突然変異誘発頻度と突然変異細胞のhprt遺伝子座の損傷パターンをmultiplex PCR法により調べた。得られた結果から、突然変異誘発頻度が同程度であっても、放射線の線質が異なると突然変異を誘発するDNAレベルの損傷に質的な違いが生じることを明らかにした。  しかし、このような損傷の質的な違いがLETや線量に依存するものか、またX線・鉄イオン以外の線質においても見られる現象か、未だはっきりとした報告はほとんどない。その為今後さらに様々な線種、LET、線量域により誘発された突然変異細胞における損傷を解析し、hprt遺伝子座における損傷パターンと放射線の線種の違いとの関係を明らかにしたい。さらにはこれまで我々が明らかにしてきた時間的な大きさのスケールの違う様々な生物効果を今後も独自に明らかにしていくことにより、将来的には放射線、特に粒子放射線のような高LET放射線によって誘発される遺伝的影響の発生メカニズムを統一的に解明したい。この様な放射線に対する基礎データの蓄積を行うことは、将来様々なエネルギースペクトラムを含む放射線が混在している宇宙放射線による人体影響を解明する際に役立てることのできる大切なデータとなるものと考える。, 日本宇宙生物科学会第24 回大会}, title = {粒子放射線加速核種の違いが生物効果に与える影響}, year = {2010} }