@misc{oai:repo.qst.go.jp:00063952, author = {渡辺, 嘉人 and 府馬, 正一 and 久保田, 善久 and 渡辺 嘉人 and 府馬 正一 and 久保田 善久}, month = {Jul}, note = {1.はじめに 放射性物質等による環境汚染を想定すると、多種多様な生物種より構成される環境生態系における放射線影響を考えることは重要である。しかし高等植物などの環境生物では放射線感受性に大きな種間差があるにもかかわらず、ほとんどの種では放射線影響に関するデータはなく、環境生態系の影響評価を難しくする一因となっている。本研究では、植物種の細胞核DNA含量と放射線感受性との関係に着目して、細胞核DNA含量データベースを用いた放射線感受性の推定について検討した。この推定法に基づいて、永年性の樹木種における放射線感受性の分布を考察した結果について報告する。 2.実験方法 樹木の放射線影響に関するデータは、アメリカ(Sparrow et al. Radiation Research 44, 1970)、カナダ(Dugle and Mayoh, Environmental and experimental botany 24, 1984)、日本(Ohba, Gamma Field Symposia 3, 1964)における野外照射実験に関する過去の研究文献から引用した。ガンマ線連続照射の長期影響(2〜5年)について、半致死線量率(LDR50)、全致死線量率(LDR100)の情報を抽出した。樹木種の細胞核DNA含量は、C値(1細胞内の染色体半数当りのDNA量)に関する最新のデータベース(イギリス、キュー・ガーデンズのPlant DNA C-Values Databases)から取得し、放射線影響に関するデータと合わせて解析した。 3.結果および考察 アメリカの文献より得られた樹木の連続照射後のLDR50・LDR100には、ともに20倍以上の種間差が存在した。これらのLDR50・LDR100は、植物種の細胞核DNA含量との間に明瞭な関係が見られた。細胞核DNA含量を説明変数とした累乗回帰モデルにおいて、LDR50・LDR100と細胞核DNA含量との間には、重相関係数0.8以上の有意な相関が認められた。この回帰モデルを利用して細胞核DNA含量から求めた樹木のLDR50・LDR100の推定値は、同種の樹木についての他文献中の観察値と良い一致が認められ、回帰モデルの妥当性が確認された。そこで、細胞核DNA含量データベースに情報のある600種以上の樹木にこの回帰モデルを適用して、LDR50の樹木の種全体における分布を推定した。樹木は裸子植物と被子植物の2集団の間で細胞核DNA含量の分布に明瞭な差が存在するため、細胞核DNA含量に基づいて推定したLDR50においても、2集団間に大きな差が現れた。連続照射5年目におけるLDR50推定値の幾何平均は、被子植物集団で約1Gy/day、裸子植物で約100mGy/dayとなった。 4.結論 本研究では、細胞核DNA含量データに基づいた回帰モデルによるアプローチが、樹木の放射線感受性の推定に有効であることが示された。放射線影響が調べられている生物種の種類が限られている中で、多様な生態系の放射線影響評価をどのように行うかが今日問題となっている。細胞核DNA含量データベースは多様な生物種で整備され始めており、本手法のようなアプローチによる放射線感受性の推定は、植物以外の生物種においても有用であると考えられる。, 第47回アイソトープ・放射線研究発表会}, title = {放射線感受性の植物種間差―モデル植物を用いた比較研究}, year = {2010} }