@misc{oai:repo.qst.go.jp:00063949, author = {鈴木, 雅雄 and 鶴岡, 千鶴 and 劉, 翠華 and 金子, 由美子 and 小西, 輝昭 and 及川, 将一 and 山下, 航 and 松藤, 成弘 and 古澤, 佳也 and 鈴木 雅雄 and 鶴岡 千鶴 and 劉 翠華 and 金子 由美子 and 小西 輝昭 and 及川 将一 and 山下 航 and 松藤 成弘 and 古澤 佳也}, month = {Jul}, note = {重粒子線治療における二次的な被ばくを想定した低線量放射線晩発影響 \n 鈴木雅雄1、鶴岡千鶴1、劉翠華1、金子由美子1、小西輝昭2、及川将一2、山下航3、松藤成弘1、古澤佳也1 \n1) 放医研重粒子医科学センター、2) 放医研基盤技術センター、3)東北大学大学院工学研究科 \n【はじめに】 粒子放射線によるがん治療は、その特徴的な物理線量の局在性から、従来の電磁波放射線による治療に比べて腫瘍組織に対して高い治療効果を実現する一方で周囲の正常組織に対する副作用を低減することの出来る治療法として再評価され、日本をはじめ世界各国で普及しつつある。しかしながら、がんの放射線治療や診断等の医学利用での被ばく、特に二次放射線による患者および医療従事者に対する生物影響は、その全容が解明されておらず今後大きな関心事の一つとなることが考えられる。 炭素イオンビームを水に照射した時の二次放射線として発生する放射線のスペクトラムから、中性子線の影響を無視することが出来ない結果が計算コードを使用したシミュレーションから明らかになってきている。そのため、重粒子線がん治療、特に炭素イオンビームによる治療では、それに付随する二次放射線被ばくの生物影響研究として、中性子線の影響を解明することが必要不可欠と考える。 本研究は、重粒子線治療に伴う低線量放射線被ばくに対する晩発影響リスク評価モデル構築に必要不可欠な生物学的基礎実験データを集積することを目的として計画した。本年は、中性子線低線量(率)照射に対するヒト正常細胞の細胞応答(バイスタンダー効果)とその誘導過程に関与する二次・三次放射線を考察した実験結果を報告する。 \n【材料・方法】  細胞は、ヒト正常細胞として胎児皮膚由来正常線維芽細胞を用いた。遺伝子突然変異を細胞レベルの晩発影響として選択した。突然変異誘発効果はX染色体上にマップされるhprt遺伝子座を突然変異の標的として、6チオグアニン耐性コロニーの出現頻度より誘発頻度を算出した。中性子線の低線量(率)照射は、241Am-Be線源を用いて行った。8時間掛けて1mGy相当の低線量率照射を行い、引き続き200kV X線を急性照射してX線誘発突然変異を調べた。次に中性子線より二次的に発生する放射線の中で反跳プロトンに焦点を当て、中性子線照射された細胞集団の細胞応答との関係を調べた。プロトン照射は放医研マイクロビーム細胞照射施設のプロトンマイクロビームを用いた。ビームサイズを10micrometer x 10micrometerに絞ったマイクロビームで細胞照射用ディッシュ面に75x75=5625点に格子状に設定した照射点各々に対して1個のプロトンを照射した。この照射方法で計算上ディッシュ上の全細胞数の1.5%にプロトンは照射される。その後引き続き200kV X線を急性照射して、低フルエンスプロトン照射有無による細胞応答の違いを調べた。さらにバイスタンダー効果誘導メカニズムを探る目的で、コンフルエント状態で隣細胞同士の接触による増殖阻止能が働く正常細胞の特性に注目し、ギャップジャンクションの特異的阻害剤を併用して、細胞間情報伝達機構のバイスタンダー効果への関与を調べた。 \n【結果】  中性子線を低線量率で照射された細胞集団にX線を急性照射したときのX線誘発突然変異は、X線急性照射単独の誘発頻度の15% に減少した [1]。次に241Am-Beから放出される中性子線のエネルギーが主に高速中性子であることから、『弾性散乱による生体との相互作用の結果生ずる反跳核(反跳陽子)によってエネルギー付与された細胞がそのストレスに対して細胞応答を起こし細胞集団として放射線適応応答を誘導した』とする仮説を立て、プロトンを単独で低フルエンス照射した細胞集団のX線突然変異を調べた。プロトンマイクロビームを細胞集団のごく一部に前照射しその後X線を急性照射した場合、プロトンを前照射しない対照群に対して、X線誘発突然変異は有意に抑制された。また、ギャップジャンクション特異的阻害剤を併用した場合は、抑制された突然変異誘発頻度が対照群と同レベルまで回復した。 \n【考察・結論】  以上の結果から、現段階で以下の結論を導くことが出来る。 1) 中性子線で誘導された適応応答は、中性子と物質の相互作用の結果生じるプロトンを照射された細胞が原因となって生じたこと、 2) その適応応答は、電磁波放射線と異なり、わずか1.5%程の直接プロトンを受けた細胞が何らかの応答をした結果ギャップジャンクションを介した細胞間情報伝達機構に由来するバイスタンダー効果によって細胞集団全体を適応応答に導いたこと、 が示唆される。 \n【文献】 [1] M.Suzuki et al., J .Radiat. Res., 50 (2009) 395-399., 第49回日本医学放射線学会生物部会学術大会}, title = {重粒子線治療における二次的な被ばくを想定した低線量放射線晩発影響}, year = {2010} }