@misc{oai:repo.qst.go.jp:00063938, author = {小橋, 元 and 小橋 元}, month = {Jun}, note = {炎症性腸疾患(IBD)の疫学研究および素因遺伝子の研究は、従来精力的に行われてきた。しかし、IBDの発症機構および予防要因に関してはまだまだ未解明な点が多く、今後ますますの研究遂行が求められるところである。 小児IBDは、遺伝要因に加えて、母親および患者(小児)自身の生活習慣・環境要因の交互作用により発症すると考えられるが、成人発症のIBDに比べて、発症までの生活時間が短く、遺伝要因や母親の妊娠中および本人の小児期の生活習慣の、発症への寄与割合が大きい可能性がある。また、母親にとっては妊娠中・育児期という特別に時期であるために、振り返り調査が行いやすく、またもし予防要因が解明された場合には、母子・乳幼児保健領域からの介入が可能であるというメリットがある。 小児IBDに関する疫学研究は、まだまだ非常に少ない現状であるが、以下のような項目が、主に国外において明らかになっている。 ?クローン病(CD)は潰瘍性大腸炎(UC)に比べ、能動喫煙の影響はほぼ同様に認められたが、母親の妊娠中の喫煙および受動喫煙の影響を受けやすいことが認められた。 ?人工栄養は有意な発症要因であり、母乳栄養がIBD発症リスクを低下させる。 ?人工栄養ではIgAの防御低下と高リノール酸の両方の可能性がある。 ?母親の食事内容は母乳成分に影響する。 ?Low BMI, 血小板高値、IBDの家族歴と関連する。 ?CDはLow BMIの傾向、UCは高BMIの傾向がある。 ?虫垂炎切除はUCの、裕福な生活はクローン病のリスク低下と関連していた。 ?低身体活動、短い睡眠時間、発症1年前のストレス過多が関連していた。 ?早期産や不妊治療と有意な関連が認められた。 これらは、それぞれが交絡する可能性はあるが、両親の喫煙、母乳・人工栄養の有無、母親の食事、妊娠分娩歴、既往・家族歴、睡眠、ストレス要因などを同時に調査し解析する意義は高いと考えられる。 遺伝要因(一塩基置換多型:SNPs)に関しては、その多くが免疫、細菌感染応答のパスウエイにある遺伝子である。小児においては今のところ、CARD15/NOD2、DLG5、TLR4、OCTN1/2、MYO9B、IL23R、ATG16Lなどが、日本人以外の複数の人種においてその関連が示唆されているが、主要効果遺伝子はまだはっきりしていない。また、日本人ではまだほとんど研究されていない。遺伝要因には人種差がある可能性が高いため、日本人において確認する意義は高いと考えられる。また、遺伝要因と妊娠中・育児期の要因との交互作用が解明されれば、妊娠前の女性あるいは妊婦、母親のハイリスク者に対して、その生活習慣などに早期の個別予防介入が実現できる可能性がある。 今回我々は、小児IBD発症要因・予防要因の解明のために、症例・対照研究を計画した。母児の生活習慣・環境要因調査と唾液または口腔粘膜採取からのDNAタイピングを行い、小児IBD発症要因・予防要因を、遺伝要因と環境要因のそれぞれと、また各々の交互作用の解明を目指す。, 厚生労働科学研究費補助金・特定疾患の疫学に関する研究班 平成22年度第1回総会および研究分担者会議}, title = {小児炎症性腸疾患の発症関連要因・予防要因の解明;母児の生活習慣と遺伝子多型に関する症例・対照研究}, year = {2010} }