@misc{oai:repo.qst.go.jp:00063864, author = {高田, 兵衛 and 青野, 辰雄 and 田上, 恵子 and 内田, 滋夫 and 高田 兵衛 and 青野 辰雄 and 田上 恵子 and 内田 滋夫}, month = {Mar}, note = {はじめに コバルトは海洋の基礎生産を支える重要な重金属のひとつである。海洋のコバルトは主に河川から供給されると考えられる。しかし、河川水と海水の化学的性質(例えば、塩分やpH等)が異なるため、これらの境界領域である河口-沿岸域では、水中におけるコバルトの存在状態は変化すると考えられる。そこで本研究では、日本の河口-沿岸域におけるコバルトの挙動を示し、コバルトの存在状態及び変動要因について考察を行った。 調査域及び分析方法 調査域は由良川下流から南西部若狭湾の沖合にかけて、2007年の異なる月に計3回(7、9、11月)観測を行った。相模川下流から北部相模湾の沖合においても、2008年に計3回(6、8、11月)行った。採水作業は、予め酸洗浄した水平式の5L-ニスキンボトルを用いて、船上で行った。採水した水試料を0.2-μmカートリッジフィルターでろ過したものを溶存態コバルト用試料水、未ろ過のものを全コバルト分析用試料水として、それぞれ酸洗浄したポリエチレンボトルに分取した。これらの試料水は、高純度硝酸を添加して酸性化した後、分析まで暗所で保存した。分析はノビアスキレート樹脂を用いて分離濃縮した後、ICP-MSで測定を行った。全コバルト濃度から溶存態コバルト濃度を差し引いたものを粒子態コバルト濃度とした。また、pH、溶存酸素、懸濁粒子、溶存有機炭素、マンガン及び栄養塩等についても分析を行った。 結果及び考察 相模川下流から沖合の調査では、3回の観測のいずれも河川から河口付近の間でコバルト濃度の増加が見られた。由良川下流から沖合の調査においても7月及び11月に同様な結果を示した。河口付近の感潮帯は底質の巻き上がりが起きやすい。本研究でも懸濁粒子濃度の増加が見られたことから、底質の再懸濁によるコバルトの負荷が考えられる。また、相模川河口付近には下水処理場等の施設が隣接するため、人為起源による影響も考えられる。塩分に対しては、溶存コバルト/全コバルトモル比は塩分増加に伴い高くなる傾向にあった。これは懸濁粒子に吸着したコバルトが脱離により、溶存態へ変化する過程も存在すると考えられる。そこで、塩分変化に対するコバルトの存在状態について調べるため、以下の実験を行った。 実験には由良川の酸処理をしていない懸濁粒子を含んでいる未ろ過河川水(塩分: 0.75)、及び若狭湾の沖合のろ過海水(塩分: 33.4)を用いた。両試料水を3種類の異なる割合で1Lになるようにポリエチレンボトルに混合した[未ろ過河川水 : ろ過海水; 1 : 9(ボトル1)、1 : 1(ボトル2)、1 : 9(ボトル3)]。実験は暗所にて水温を一定(25℃)にして行った。実験期間中でのボトル試料水中のpHは8.0±0.2であった。これら3つのボトルから時系列的に試料水を採取し、それぞれコバルト濃度を求めた。 それぞれのボトルの経過時間によるコバルト濃度を図1に示す。ボトル1では実験開始直後(2分後)から120時間後まで溶存態及び粒子態コバルト濃度の変化はほとんど見られなかった。一方、ボトル2及び3では、反応時間に対して溶存態コバルト濃度は増加し、粒子態コバルト濃度は減少した。また、ボトル2での溶存コバルト濃度は、実験開始後の濃度に対して約15%増加し、海水の割合が一番高いボトル3では86%まで増加した。実験期間中の溶存コバルト/全コバルトモル比においては、ボトル1では0.26±0.02で変化はあまり見られなかった。一方、ボトル2及び3では反応時間に伴ってモル比は高くなった。特にボトル3では、実験開始直後の0.41から120時間後に0.71まで増加した。これらの結果は、海水の混合割合が高くなるほど(塩分が高いほど)試料水中の粒子に吸着したコバルトが粒子から脱離し、溶存態に変化したことを示唆している。 以上より、河川以外に底質の再懸濁や人為起源によるコバルトの負荷、更には河川水と海水の混合による水中の化学的性質の変化も、本調査域の河口-沿岸水中におけるコバルトの挙動や存在状態に影響を与えている主な要因と考えられる。   本研究は資源エネルギー庁放射性廃棄物共通技術調査等委託費の予算で行われた。, 2010年度日本海洋学会春季大会}, title = {河口-沿岸水中におけるコバルトの挙動及び存在状態について}, year = {2010} }