@misc{oai:repo.qst.go.jp:00063681, author = {松本, 謙一郎 and 乳井, 美奈子 and 上林, 將人 and 小澤, 俊彦 and 中西, 郁夫 and 安西, 和紀 and 松本 謙一郎 and 乳井 美奈子 and 上林 將人 and 小澤 俊彦 and 中西 郁夫 and 安西 和紀}, month = {Nov}, note = {【序論】温熱療法によって組織内にフリーラジカルが生成することが明らかにされつつあり、温熱療法での制癌機構にはフリーラジカル生成が重要な働きを持つことが分ってきた。しかしながら現段階では、その発生メカニズムについては充分に解明されていない。そこで本研究では、ニトロキシルラジカルをフリーラジカル反応のプローブとしてその常磁性の消失あるいは出現をEPRで観察する方法を用いて、水溶液試料を加温した時に水中で生じるフリーラジカル反応の解析を試みた。 【実験】0.1 mMニトロキシルラジカル(TEMPOLまたはcarbamoyl-PROXYL)と1 mMグルタチオン(GSH)を含む100 mMリン酸緩衝液(pH7、0.05 mM DTPAを含む)を一定温度でインキュベートし、ニトロキシルラジカルのEPR信号強度の経時変化を追った。同様に反応系に抗酸化剤を加えて一定温度でインキュベートした場合についても、EPR信号の経時変化への影響を調べた。次に窒素ガスあるいは酸素ガスでバブリングを行いながら本反応の経時変化を追った。また、過酸化水素にUVを照射するヒドロキシルラジカル(.OH)の発生系に、本反応系を曝露して同様に経時変化を追った。更に、キサンチンおよびキサンチンオキシダーゼによるスーパーオキサイド(O2-)の発生系に本反応系を曝露した場合にも、同様に経時変化を追った。次に、各ニトロキシルラジカルのヒドロキシルアミン体0.1 mMを含む100 mMリン酸緩衝液(pH7、0.05 mM DTPAを含む)について、70度Cでインキュベート、ガスバブリング下でのインキュベート、.OH発生系への曝露、O2-発生系への曝露を行ったときのEPR信号強度の経時変化を観察した。スピントラップ剤であるDMPO 225 mMを含む100 mMリン酸緩衝液(pH7、0.05 mM DTPAを含む)を一定温度でインキュベートし、生成するスピンアダクトのEPR信号強度の経時変化を測定した。更に、反応系に抗酸化剤を加えた場合に、スピンアダクト生成への影響を調べた。 【結果と考察】ニトロキシルラジカルとGSHを含む反応溶液を一定温度で加熱すると、室温以上では加温時間に応じてEPR信号強度が低下し、低下の度合いは温度依存的に速くなった。この反応系に抗酸化剤を加えた場合にはEPR信号の低下が抑制される傾向が見られたが効果は非常に弱かった。しかし、スピントラップ剤であるDMPOあるいはCYPMPOを添加するとEPR信号の低下が濃度依存的に抑制された。GSHの代わりにNAD(P)Hを使用すると一過性の信号低下が見られたが、DMPOを添加すると一過性の信号低下は見られなくなった。低酸素の条件では、TEMPOLの信号強度の低下の開始が遅くなり、信号低下の速度も若干遅くなる傾向が見られた。CmPの場合にも低酸素条件で信号強度の低下の開始が遅くなる傾向が見られたが、その後、一過性の信号低下が観察され、更に観察すると信号強度が徐々に回復する傾向があった。反応の進行に溶存酸素が関係することが示唆され、また反応の機構がTEMPOLとCmPで異なることが予想された。.OHあるいはO2-の発生系を反応系に加えた場合にも両ニトロキシルラジカルのEPR信号強度の低下が見られた。またニトロキシルラジカルとGSHを含む反応溶液にSODを添加して一定温度で加熱すると反応が抑制された。カタラーゼは効果を示さなかった。このことから、水溶液を過熱した際に溶存酸素に由来するO2-の発生し、これがニトロキシルラジカルのEPR信号消失に関与していることが示唆された。 ヒドロキシルアミン体を含む反応溶液を加温すると、ニトロキシルラジカルの生成が観察された。ニトロキシルラジカルとGSH を含む反応系を加温した場合に消失するニトロキシルラジカルの量に対し、ヒドロキシルアミン体を含む反応系を加温してニトロキシルラジカルが生成する量は極めて少なかった。反応溶液を窒素でバブリングしながら加温した場合には、ニトロキシルラジカルの生成は抑制された。.OHあるいはO2-の発生系を反応系に加えた場合にも両ニトロキシルラジカルのEPR信号が出現し時間とともに増加した。ニトロキシルラジカルとGSH を含む反応系を.OH あるいはO2-の生成系に曝露した際はどちらもニトロキシルラジカルがほぼ完全に消失するのに対し、ヒドロキシルアミン体を.OHの生成系に曝露したときのニトロキシルラジカル生成はO2-の発生系に曝露した場合に比べて有意に大きかった。すなわちヒドロキシルアミン体を酸化してニトロキシルラジカルを生成しやすいのはO2-よりも.OHであると思われる。しかし反応溶液を加温した際にはニトロキシルラジカルの生成がそれほど起こらないことから、水溶液を過熱した際の.OHの生成はO2-の生成に比べて少ないと予想された。 DMPOを含む反応溶液を一定温度で加熱すると、室温以上では加温時間に応じて、生成するDMPO-OHスピンアダクトのEPR信号強度が増加し、その増加の度合いは温度依存的に速くなった。抗酸化剤を加えた場合にはEPR信号の増加が抑制されたがその効果は非常に弱いものであった。本反応も窒素バブリングで抑制され、溶存酸素由来のO2-の生成が関与するものと思われるが、DMPO-OOHのEPR信号は確認されておらず、これは加温により速やかにDMPO-OHへ変換されるためと考えられる。 加熱した水溶液中で溶存酸素に由来するO2-の発生が示唆された。同時に.OHも生成しているものと思われるがその量は少ないと予想された。, 第48回電子スピンサイエンス学会年会(SEST2009)}, title = {水溶液中での温度依存的フリーラジカル反応の解析}, year = {2009} }