@misc{oai:repo.qst.go.jp:00063232, author = {米内, 俊祐 and 加瀬, 優紀 and 松藤, 成弘 and 難波, 将夫 and 金井, 達明 and 米内 俊祐 and 加瀬 優紀 and 松藤 成弘 and 難波 将夫 and 金井 達明}, month = {Sep}, note = {1. 諸言 放射線治療において、照射野外の正常組織に対する被ばく評価は放射線誘発による二次がん発生リスクの観点から重要である。粒子線治療では、治療に用いる荷電粒子が患者や照射機器と核反応することにより二次中性子が潜在的に生成される。これらの中性子は照射野外に広く分布し、生物学的効果も大きいことから、中性子を含めた二次がんリスク評価が、粒子線治療の若年層へ拡大のために特に重要となる。これまで我々は、ファントム外の空気中の中性子エネルギースペクトル及び中性子周辺線量当量の測定を行い、放射線治療のモダリティーによる違いや空間線量分布の評価を行ってきた。[1,2]二次がんリスクの評価では、体内の吸収線量及び生物学的効果の情報が不可欠である。通常、モンテカルロ計算によって体内もしくはファントム内の詳細な吸収線量及び生物学的効果分布を取得するが、本研究では、限定した位置において、それらを実験的に取得することを目指した。 2. 方法 実験は、放医研、HIMACの治療室において、290、400MeV/u炭素ビームを用いて行った。ここで、照射機器設定はSOBP60mm、照射野58.1×50.0 mm2とした。測定体系を図1に示す。5台の水ファントム(40cm(ビーム軸方向)×30cm×20cm(高さ))を治療台に並べ、2台の組織等価比例計数管(TEPC, Far West社製, 0.5インチφ, プロパンベースガス, サイトサイズ:1μm)を水中に設置した。水ファントムの1台はその中心がアイソセンターに一致するように設置し、他の4台はビーム軸に対して90度方向に隣接して設置した。測定位置は図1に示す4点である。Lineal energy, yの広いダイナミックレンジ(0.2-2000keV/m)の測定を可能にするため、アンプゲインの異なる3台の主増幅器、及び3台のMCAを用いて測定を行った。それぞれ入力で得られたLineal energy分布, f(y)を基に、吸収線量Dはyf(y)の積分により、また、線質係数はICRU40(Q(y))及びICRP21,60(Q(L=y))に従い算出した。また、式(1)-(4)を用いて、線量平均Lineal energy, yD、線量平均線質係数, QD、線量当量, Hを算出した。      \n3. 結果 図2にQD, yD, H, Dの測定結果を示す。ここで、H及びDはSOBP中心の治療吸収線量当たりで規格化している。ICRP60とICRU40のQ(y)-y(Q(L)-y)の違いにより、QD及び Hは位置に依らず、約7%の違いが現れる。QDは、ビーム軸からの距離には大きく依存せず、290MeV/uの場合3.96から5.29、400MeV/uの場合3.30から4.56であった。Hは、ビーム軸からの距離に依存して減少し、290MeV/uの場合、0.385から0.0519 mSv/Gy、400MeV/uの場合、1.45から0.158 mSv/Gyであった。また、治療ビーム入射面からの深さに依存性があり、浅い位置のほうがD, QDが共に高い値になり、したがって、Hも高くなる。 4.考察及び結論 TEPC単体での測定では粒子種を弁別できず、また、水中では中性子に起因する二次荷電粒子及び光子が存在するため、二次中性子のみの影響を本測定結果から議論することは本質的に困難である。しかし、本研究で用いた方法により、ファントム内の限定した位置ではあるものの、リスク評価に必要な物理情報を実験的に取得できることを示した。また、本測定結果は、モンテカルロ計算の検証にも有益な情報となりうる。今後は、照射野近傍等の測定点を追加すると共に、陽子線治療との比較も行っていく予定である。 参考文献: [1] S. Yonai et al., Med Phys 35(11), 4782-4792 (2008) [2] N. Matsufuji et al., Proc. of NIRS-MD Anderson symposium on clinical issues for particle therapy, 148–154, (2008), 第98回日本医学物理学会学術大会}, title = {炭素線治療における照射野外の水ファントム中吸収線量及び線質係数の測定}, year = {2009} }