@misc{oai:repo.qst.go.jp:00063230, author = {鏡味, 麻衣子 and 石井, 伸昌 and 早川, 雅久 and 小倉, 久子 and 石井 伸昌}, month = {Sep}, note = {<はじめに>  印旛沼は千葉県最大の湖沼(11.6km2、平均水深1.7m)であり、水道水、農業工業用水の供給源として千葉県の産業と人の生活には不可欠である。一方、戦後の流域都市化に伴う生活排水の流入で水質は悪化し、今では日本で最も過栄養な湖となった。昨年度も全国1位のCOD濃度(11mg L-1)を記録し、環境省から水質改善が必要な湖沼に指定されている。  水質を改善するためには、水質を左右する植物プランクトンの生態への理解が不可欠である。これまで20年以上にわたって、千葉県による定期的な水質モニタリングが続けられている。植物プランクトンに関しては、クロロフィル濃度にくわえ、種毎の細胞数も計数されている。しかし、これら長期データの解析は詳細にはなされておらず、未だ大発生する植物プランクトンの種組成やその増加理由については不明な点が多い。そこで、本研究では、印旛沼における植物プランクトンの優占種の変遷パタンについて解析を行った。また、植物プランクトン優占種に対するツボカビの寄生率を求めた。さらに、ツボカビを含め、水中に生息する真菌類の種組成を調べた。 \n<方法> (1) 長期モニタリングデータの解析  千葉県水質環境センターが公開している1988年から2008年までの20年間のデータを解析し、植物プランクトンの優占種の季節変動パタンについて解析した。 (2)植物プランクトンへのツボカビ寄生率  千葉県が保管している2006-2008年の試料について、ツボカビの寄生率を植物プランクトン種毎に計数した。キチンを染める染色液(Calcofluor white)にてツボカビを染色し、蛍光顕微鏡(UV励起光)下にて計数した。 (3)真菌類の種組成  2008年5月から10月の間、2週間に1回、西印旛沼(船戸大橋付近)にて調査を行った。湖水そのままとプランクトンネットで濃縮した植物プランクトンサンプル(>100μm)を採取した。真菌類の種組成は18S rRNAをターゲットにしたDGGE法(変性剤濃度勾配ゲル電気泳動法)によって調べた。 \n<結果> (1)長期モニタリングデータの解析  過去20年間、夏にはアオコが発生し、植物プランクトンの優占種はラン藻類(Microcystis, Anabaena)であった。春および秋には、珪藻類のAulacoseiraが優占していた。定期的な季節変動パタンを繰り返している事が明らかになった。 (2)植物プランクトンへのツボカビ寄生率  春と秋に優占する珪藻Aulacoseira granulataおよびA. ambigua上に寄生性ツボカビが多く確認された(図1)。A.granulataコロニーへの寄生率は最大70%にも達した。一方、A. ambiguaコロニーへの寄生率は平均5%、最大でも10%であった。他、A. distanceやScenedesmus sp. Chlamydomonas sp.に寄生するツボカビも確認された。 \n    図1 A. granulataに寄生するツボカビ。右は染色後の写真。 \n(3)真菌類の種組成  DGGE法により多くのバンドが確認され、多様な真菌類が存在する事が示唆された。出現したバンドの中から24本のバンドを切り取り、シークエンスした結果、16本のバンドにツボカビ様の配列が認められた。ChytridiumやRhizophydiumなど植物プランクトンに寄生する種類だけでなく、有機物を分解する種類も認められ、印旛沼には多様なツボカビが存在する可能性が示唆された。    \n<考察>  印旛沼の優占種Aulacoseiraにツボカビが高い頻度で寄生している事が明らかとなった。Aulacoseiraの現存量を考えると、印旛沼の物質循環の中でのツボカビの役割は無視できない。Aulacoseiraのような大型の珪藻 (>50μm) はミジンコには食べられにくいため、食物網に組み込まれないと考えられてきた。しかし、ツボカビが大型珪藻に寄生すると、その細胞質を利用して成長したツボカビの遊走子(5µm)が水中に放出される。これら遊走子はミジンコなどの動物プランクトンにとって良い餌であり、捕食される結果、大型珪藻はツボカビを介して食物網に組み込まれる。このようなツボカビを介した物質経路(Mycoloop)が印旛沼など過栄養湖において重要である可能性が示唆された。, 日本陸水学会第74回大分大会}, title = {印旛沼における植物プランクトンと寄生性ツボカビの動態}, year = {2009} }