@misc{oai:repo.qst.go.jp:00063151, author = {鈴木, 雅雄 and 取越, 正己 and 大野, 由美子 and 鶴岡, 千鶴 and 菓子野, 元郎 and 八木, 直人 and 梅谷, 啓二 and 劉, 翠華 and 鈴木 雅雄 and 取越 正己 and 鶴岡 千鶴 and 劉 翠華}, month = {Jul}, note = {【はじめに】  放射光の臨床応用として注目されるMicrobeam Radiation Therapy (MRT)は、50-120keVの白色X線を200µm 程度の間隔で並んだ幅20µm 程度のスリット状のコリメータを通してがん組織に照射する方法である。これまでに行われた実験動物を用いた研究から、その特徴として、がん細胞だけが死滅して, X線が透過したがん組織周辺の正常組織は損傷を受けないとする興味深い現象が報告されている[1]、[2]。この現象の生物学的メカニズムはほとんどわかっていないが、スリット状マイクロビーム照射でX線を照射された領域と照射されない領域が交互に並ぶ組織内の照射条件の特徴から、非照射細胞が何らかの形で関与したバイスタンダー効果がメカニズムの一つであり、さらにその効果における正常細胞とがん細胞の応答の違いが関与した複雑な機構で生じているものと考えられる。  本研究は、放射光X線スリット状マイクロビームによって生ずる放射線損傷に対する腫瘍組織と正常組織の応答の違いを細胞レベルで明らかにし、生物効果のメカニズムに裏付けされた効果的な放射線によるがん治療応用のための生物学的基礎データを収集することを目的として計画した。本年は、マイクロビームを照射された細胞集団の致死効果からの回復現象に対する細胞種間の違いを、がん抑制遺伝子p53のステータスとの関係から調べた実験結果を報告する。 \n【材料・方法】  細胞は、正常型のp53遺伝子を持つヒト由来正常細胞2種類、がん細胞株1種類と変異型p53遺伝子を持つヒト由来がん細胞株2種類の合計5種類を用いた。X線スリット状マイクロビームは、財団法人高輝度光科学研究センターSPring-8のBL28B2において、タングステンと polyimide filmを積層して作成したコリメーターによって白色光をスリット幅2.5µm (スリットピッチ200µm ) にマイクロビーム化し[3]、スライドチャンバーに付着させたコンフルエント状態の細胞に照射した。細胞致死は、コロニー形成法による細胞の増殖死として検出した。照射後直ちにトリプシンを掛けプレートに蒔いた場合と照射後12時間炭酸ガスインキュベーター内に保持した後にトリプシンを掛けプレートに蒔いた場合との細胞生存率を比較して、致死効果からの回復を評価した。またギャップジャンクションの特異的阻害剤を用いて、細胞致死効果と細胞間情報伝達機構との関係を調べた。 \n【結果】  得られた結果から、正常型p53遺伝子を持った細胞は、正常細胞かがん細胞かに関わらず、ギャップジャンクション特異的阻害剤を併用しない場合にのみ照射直後の生存率に対して12時間後の生存率が有意に上昇した。しかしながら、変異型p53遺伝子を持った細胞は、ギャップジャンクション特異的阻害剤を併用してもしなくても、直後と12時間後の生存率に差がなかった。 \n【考察・結論】  以上の結果から、現段階で以下の結論を導くことが出来る。 (1)X線スリット状マイクロビームが照射された細胞集団の致死効果からの回復現象は、マイクロビームを照射された細胞の損傷を周囲に存在しているマイクロビーム非照射細胞が、ギャップジャンクションを介した細胞間情報伝達機構によって修復を促進した結果である(バイスタンダーレスキュー効果)。 (2)そのバイスタンダーレスキュー効果は、がん抑制遺伝子p53の遺伝子産物が直接的または間接的に関与した一連の細胞応答の一環として誘導されている。 \n【文献】 [1] D.N.Slatkin et al.,PNAS,92:8783-7.(1995). [2] J.A.Laissue et al.,Int.J.Cancer, 78:654-60.(1998). [3] Y.Ohno et al., Medical Physics, 35:3252-8. (2008)., 第48回日本医学放射線学会生物部会学術大会および第39回放射線による制癌シンポジウム}, title = {X線スリット状マイクロビーム照射で誘導される致死効果に対する バイスタンダー効果の細胞種依存性}, year = {2009} }