@misc{oai:repo.qst.go.jp:00062594, author = {安藤, 興一 and その他 and 安藤 興一}, month = {Jun}, note = {目的: 放医研にて炭素線治療を受けた非小細胞肺ガン46症例について線量-局所制御率関係を解析し、他施設で得られた光子線治療を比較対照とした炭素線RBEが報告されている(1)。興味あることに、50%治癒率でのRBEは1.75であるが、治癒率が90%と高くなるとRBEは2.14と大きくなっていることである。この結果は、細胞生存率曲線に基づいた理解(高LET 放射線RBEは線量の増大-治癒率の増加、を意味する-とともに小さくなる)と合致しない。仮説として、この非小細胞肺ガンの放射線感受性が不均一であり、光子線高線量域の治癒率を低下させている抵抗性細胞に対して炭素線RBEが大きいことが考えられる。そこで、本研究では、放射線感受性の異る二種類の腫瘍を人為的に混合してマウスに移植し、成育した腫瘍の炭素線照射効果を調べることを目的として実験を行った。 \n材料・方法:2種類のマウス線維肉腫(放射線感受性#61007, 放射線抵抗性#9037)を用いた。移植時にこの2種類の細胞を適当な比となるように混合して、同系C3H雄マウス下肢筋肉内に細胞数106個を移植した。約10日後、腫瘍が7.5-8.0mm直径になった時点で290 MeV/u炭素線6-cm 拡大ブラッグピーク(LET=74 keV/μm)にて腫瘍局所を一回照射した。腫瘍増殖遅延を調べる実験では1線量当たり5匹の、腫瘍治癒率を調べる実験では1線量当たり10匹のマウスを用いた。何れのエンドポイントでも線量―効果の図から、同一効果をもたらす等しい効果線量を求めた。一部の実験ではCs-137γ線を用いた。 \n結果: 移植時に混合する腫瘍細胞数の比を変化させ、その後に腫瘍増殖する時間を調べた。#6107:#9037比を0:100から100:0までの間、10段階に変化させたが、移植数比率に関わらず増殖時間は一定であった。これらの腫瘍に対してγ線50 Gyで一回照射を行い、増殖遅延を調べた。Tumor Growth Time (照射時の腫瘍体積が5倍になるまでの日数)は#6107が100%含まれる細胞移植を行った後に増殖した腫瘍では36日であったが、90%から50%に減ると28日から20日へと減少した。更に#6107を50%以下にして移植した腫瘍ではTumor Growth Timeはほぼ一定の20日となり、これは放射線抵抗性#9037のみを移植した場合と同じであった。  #6107と#9037混合比率を100:0, 90:10, 50:50, 10:90そして0:100として移植し、腫瘍形成した時点で炭素線照射を行った(図)。腫瘍増殖 を20日遅延させる線量(TGD20)は上記の各混合比に応じて、15,20,21,24 及び 32 Gyであった。即ち、等効果線量は抵抗性腫瘍細胞の比率が高くなるにつれ増大していた。次に、50%腫瘍治癒率をもたらす線量(TCD50)を調べたところ、上記の各混合比に応じて、 30、38,42及び 42 Gyとなっており、治癒率は増殖遅延よりも混合比率の変化に影響されにくかった(データ非表示)。すなわち、治癒には放射線抵抗性細胞が重要であり、感受性細胞からの寄与は少ないことが分かった。 \n \n考察・結論: 照射時に腫瘍内における2種類の細胞 の存在比を知ることが重要であるが、現在検討している。感受性細胞は腫瘍の増殖遅延には寄与するが、治癒には寄与するところが少ないことが示唆された。今後、γ線による腫瘍治癒を実験で調べるとともに、腫瘍間の感受性不均一性がもたらす線量ー治癒率関係に関する検討も進めることを予定している。 \n文献: [1]T.Kanai et al., Int. J. Radiation Oncology Biol. Phys. 64 (2006) 650-656., 題38回放射線による制がんシンポジウム および 第47回日医放生物部会学術大会}, title = {不均一感受性腫瘍に対する炭素線治療効果}, year = {2008} }