@misc{oai:repo.qst.go.jp:00062501, author = {府馬, 正一 and 石井, 伸昌 and 武田, 洋 and 宮本, 霧子 and 柳澤, 啓 and 田中, 伸幸 and 稲森, 悠平 and 川端, 善一郎 and 府馬 正一 and 石井 伸昌 and 武田 洋 and 宮本 霧子 and 柳澤 啓}, month = {Mar}, note = {【はじめに】現在、環境の放射線防護体系が国際的に構築されつつある。その中で、環境影響は、環境を構成する個々の生物種への直接影響をもとに評価されている。しかし、環境には複雑な生物間相互作用が存在するので、それを介した間接影響も考慮して環境全体に対する影響を評価する必要性が指摘されている。また、環境は放射線ばかりでなく他の多種多様な有害因子にも曝露されていることから、放射線と他の有害因子の環境影響を比較評価する必要性が指摘されている。そこで、我々は、水圏微生物群集を模擬したモデル実験生態系(マイクロコズム)に対する放射線と他の有害因子の影響を調べることにした。 【方法と結果】まず、生産者である鞭毛藻Euglena gracilis、消費者である繊毛虫Tetrahymena thermophila、分解者である細菌Escherichia coliから構成される3者マイクロコズムを使用した。3者マイクロコズムにγ線を照射した場合、50、100 GyではE. coliの細胞数が照射直後に一時的に減少したが、その他の生物種には影響が見られなかった。500、1000 Gyでは、E. coliは照射直後に死滅し、T. thermophilaとE. gracilisはそれぞれ対照よりも細胞数が減少した。このT. thermophilaの減少は、被食者であるE. coliが死滅したことによる間接影響と推定された。従って、3者マイクロコズムは、種構成が単純であるが、直接影響だけでなく間接影響も評価できると考えられた。5000 Gyでは、全ての生物種が照射直後に死滅した。また、放射線以外の各種有害因子についても同様の実験を行い、その影響を調べた。 次に、より現実に近づけるため、生産者である緑藻類Chlorella sp.、Scenedesmus sp.、藍藻類Tolypothrix sp.、消費者である繊毛虫Cyclidium glaucoma、ワムシ類Lecane sp.、Philodina sp.、貧毛類Aeolosoma hemprichi、分解者である細菌から構成される8者マイクロコズムも導入した。8者マイクロコズムにγ線を照射した場合、100 Gyでは、全ての消費者が対照よりも減少したが、Tolypothrix sp.は増加した。500 Gyでは、緑藻類、Lecane sp.、細菌は対照よりも減少したが、Tolypothrix sp.は増加した。1000 Gyでは、Scenedesmus sp.とA. hemprichiが死滅し、Chlorella sp.と細菌は対照よりも減少した。Lecane sp.は対照よりも減少した後、増加した。Tolypothrix sp.、C. glaucoma、Philodina sp.は対照よりも増加した。5000 Gyでは、Scenedesmus sp.と全ての消費者が死滅し、Chlorella sp.と細菌は対照よりも減少した。Tolypothrix sp.は対照よりも増加した。これらの影響のうち、1000 GyでC. glaucomaとワムシが増加したのは、被食者である細菌やChlorella sp.をめぐって競争関係にあるA. hemprichiが死滅した結果と推定された。また、500 Gy以上でTolypothrix sp.が増加したのは、栄養塩や光をめぐって競争関係にある緑藻類が減少、あるいは死滅した結果と推定された。これらの間接影響は、同一栄養段階内の種間競争に起因しており、3者マイクロコズムでは評価できないものであった。 【結論】このように、3者および8者マイクロコズムにおける放射線影響は間接影響を含み、概ね線量依存的であった。マイクロコズム全体に対する影響を評価するため、対照と有害因子を負荷したマイクロコズムの各構成生物種について個体数の差を求め、その総和をユークリッド距離で表した指数(マイクロコズム影響指数)を提案した。マイクロコズム影響指数が50 %となる50 %マイクロコズム影響用量(EDM50)を算出したところ、3者マイクロコズムでは、γ線は530 Gy、UV-Cは2100 J/m2、マンガンは230 ppm、ニッケルは2.6 ppm、銅は7.0 ppm、ガドリニウムは39 ppm、ジスプロシウムは49 ppmとなった。一方、8者マイクロコズムにおけるγ線のEDM50は2000 Gy、銅は0.57 ppm、2,4,5-T(除草剤)は49 ppmとなった。このようなデータは、水圏微生物群集において、様々な有害因子と相対的に放射線のリスクを評価し、また、放射線を基準として他の様々な有害因子のリスクを順位付けする際に役立つと考えられる。, 第9回環境放射能研究会}, title = {モデル実験生態系を用いた放射線の環境影響評価}, year = {2008} }