@misc{oai:repo.qst.go.jp:00062500, author = {帰山, 秀樹 and 渡部, 輝久 and 日下部, 正志 and 帰山 秀樹 and 渡部 輝久 and 日下部 正志}, month = {Mar}, note = {【はじめに】 西部北太平洋亜寒帯域は生物生産力が高く、浮魚類、底魚類、マイクロネクトンやクラゲ類が多く分布する。本海域における動・植物プランクトンの生理・生態学的研究は親潮域を中心に精力的に行われてきた。一方、青森県六ヶ所村には近年完成しアクティブ試験の行われている核燃料再処理工場をはじめとする原子力関連施設が立地しており、我が国の海洋環境放射能研究において重要な海域である。本研究では、代表的な核分裂生成物である137Csの六ヶ所村沖太平洋における分布について、低次生産を担う動物プランクトンの137Cs濃度および群集構造の関係について報告する。 【材料および方法】 試料の採集は東北沖合海域の6地点(主にSt.1、St.2およびSt.3の3地点)において、2005年〜2007年の6月および2005年10月に行った(図)。動物プランクトン試料は大型リングネット(口径1.6m、目合い500?m)による水深50mの水平曵きにより137Cs濃度測定用試料を、閉鎖式ネット(口径60cm、目合い335?m)による水深50 mからの鉛直曵きにより群集構造解析用試料を得た。137Cs濃度測定用試料は凍結保存し持ち帰った。サンプルの一部は安定Cs濃度測定用試料として個体サイズの大きな種(Neocalanus属カイアシ類、オキアミ類、端脚類、毛顎類)をソーティングし、凍結保存した。群集構造解析用試料は最終濃度5%中性ホルマリン海水で固定、保存した。137Cs濃度測定用試料は湿重量を測定後、凍結乾燥し、乾燥重量を測定した。その後灰化炉にて灰化した。灰化試料はGe半導体検出器にて500,000 秒測定し放射能を求めた。ソーティング試料は湿式酸分解後、ICP-MSを用い安定Cs濃度を求めた。ホルマリン固定試料は分割し、一方を乾燥重量測定に供し、もう一方を検鏡用試料とした。 【結果および考察】 調査期間を通し動物プランクトンの137Cs濃度は10.6〜19.0 mBq kgWW-1であったが、一部試料では500,000秒の測定でもピークが検出されなかった。また、St.1およびSt.2における2005年10月の137Cs濃度は2006年6月の濃度よりも高い値であった。同海域において現場型超大容量濾過装置を用いて得られた溶存態137Cs濃度と本研究で得られた動物プランクトンの137Cs濃度より濃縮係数(海水と生物の濃度比)を求めると、6.3〜14.2(湿重量ベース)であり、おおむね既報の値と一致した。   2006年6月に採集した未ソートの混合試料について安定Cs濃度を地点間で比較すると顕著な差は認められなかった。一方、分類群間では安定Cs濃度に若干の差が認められ、「毛顎類>オキアミ類>Neocalanus属カイアシ類、端脚類」の順に濃度が高かった。   動物プランクトンバイオマスは5〜160 mgDW m-3の範囲で変動し、2006年6月のSt.1において最大値を示した。分類群組成は6月と10月で大きく異なった。2005年および2006年の6月はいずれの地点においてもカイアシ類が全個体数の90%以上を占め優占していたが、2005年6月の最も岸よりの地点(St.2)においてはオキアミ類の卵〜フルシリア幼生が全個体数の52%を占めた。一方、2005年10月にはカイアシ類の占める割合が30〜45%であったのに対し、クダクラゲ類、ウミタル類の占める割合が高くなった。また、毛顎類の種組成は、両年の6月には冷水性種であるParasagitta elegansが優占したのに対し、10月には暖水性種Flaccisagitta enflataが出現したことから、10月は暖水(津軽暖流水)の影響下にあったと判断される。   これらの結果を総合すると、動物プランクトンの137Cs濃度は分類群により異なり、ゼラチン質動物プランクトンで高濃度に濃縮されることが示唆される。発表時には2007年6月の結果についても議論する。, 2008年度日本海洋学会春季大会}, title = {西部北太平洋亜寒帯域における動物プランクトンの137Cs濃度および群集構造}, year = {2008} }