{"created":"2023-05-15T14:44:54.372004+00:00","id":61375,"links":{},"metadata":{"_buckets":{"deposit":"46803a9c-72de-440e-8d48-52ff007e2263"},"_deposit":{"created_by":1,"id":"61375","owners":[1],"pid":{"revision_id":0,"type":"depid","value":"61375"},"status":"published"},"_oai":{"id":"oai:repo.qst.go.jp:00061375","sets":["10:29"]},"author_link":["607386","607388","607387","607384","607385","607383"],"item_10005_date_7":{"attribute_name":"発表年月日","attribute_value_mlt":[{"subitem_date_issued_datetime":"2005-03-10","subitem_date_issued_type":"Issued"}]},"item_10005_description_5":{"attribute_name":"抄録","attribute_value_mlt":[{"subitem_description":"1.はじめに\nセレン(Se)の放射性核種である79Seは半減期が長い(65000 y)ことから、高レベル放射性廃棄物の深層処分において、その生物圏への影響が懸念される。本研究では、このSeの環境中における移動性を支配する要因として、土壌中でのSeの収着挙動について、75Seを用いたトレーサー実験により検討した。日本全国から採取した農耕地土壌について、Se収着レベルを評価する指標として土壌-土壌溶液分配係数(Kd)を測定し、Seの収着と土壌特性の関係について考察した。また、日本の土壌中におけるSeの主要形態は亜セレン酸(SeO32-)であると見られており(浅川ら, 1977)、亜セレン酸の土壌への収着は、リン酸の収着と同様に配位子交換反応に支配されると言われている(Parfitt, 1978)ことから、土壌中におけるSeの収着挙動に対するリン酸の影響についても検討を行った。\n2. 材料と方法\n全国各地の110地点(畑土壌59点、水田土壌51点)から表層土壌(0〜20cm)を採取し、風乾後篩別した(≦2 mm)。この風乾土3gに純水30mLを加え、室温(23℃)で24時間予備振とう後75Se(亜セレン酸、約10 kBq)を添加し、さらに7日間振とうした。遠心分離(3000 rpm, 15分)により上澄液を採取し、0.45μmメンブレンフィルターでろ過した。ろ液中75Se濃度(土壌溶液中濃度)をNaI シンチレーションカウンター(Aloka、ARC-300)により測定し、土壌接触前の濃度との差からKdを求めた。Kd値(L/kg)は75Seの土壌中濃度(Bq/kg)を75Seの土壌溶液中濃度(Bq/L)で割った値として計算される。供試土壌のpH(H2O)、陽イオン交換容量、陰イオン交換容量、全炭素量、活性AlおよびFe含量等を測定し、Kdとの関係について検討した。\nSeの収着に対するリン酸イオンの影響を調べるために、Seを収着させた土壌試料22点に対し、1 M Na2HPO4溶液30 mLを添加し、24時間振とう後、Kd測定と同様に溶液中の75Se濃度を測定し、リン酸添加による75Seの脱着率を測定した。さらに、黒ボク土、灰色低地土各1試料について、Kd測定時に75Seを添加する前に、0.1 M KH2PO4/0.1 M Na2HPO4緩衝液(pH 6.7)を添加し、リン酸濃度を0, 0.1, 1,5, および10 mMに調整した条件でKdを測定した。\n3. 結果と考察\n日本国内の農耕地土壌110点について、SeのKd値(Kd-Se)の範囲は4-1616 (L/kg)であり、幾何平均値は219(L/kg)であった。土壌の種類および特性値との関連を比較した結果、主要な畑土壌である黒ボク土においてKd-Seの幾何平均値は433(L/kg)と比較的高い値を示した。著者らのこれまでの研究において、Kd-Se値は土壌成分の中では活性AlおよびFe含量と相関が高く、特に畑土壌においては、活性Alが主要な収着物質であることが示されている(Nakamaru et al., 2005)。火山放出物由来土壌である黒ボク土は、この活性Alを多く含むことから、特に高いSe収着力を示すものと見られた。従って、黒ボク土の様に活性Al含量の高い土壌において、Seの移動性は大きく制限されると予想される。\n土壌の活性Alおよび活性Feは、リン酸を特異吸着する活性成分である。そこで、リン酸の添加により、土壌に収着したSeが交換されるかどうかを、Kd実験に使用した22試料を用いてNa2HPO4溶液抽出実験により検討したところ、土壌に収着されたSeのうち30-80%(平均値:57%)が1 M Na2HPO4溶液により抽出された。従って、土壌に収着したSeのうち50%程度はリン酸により交換されることが示された。さらに、高濃度のリン酸イオンの共存する条件でKd-Seを測定し、Seの収着が阻害されるかどうかを検討したところ、黒ボク土と灰色低地土のいずれにおいても、リン酸濃度10 mM PO4の条件において、Kd-Se値はおよそ1/10まで低下した。Kd-Se値の低下は1 mM PO4の条件においても認められ、この条件におけるリン酸添加量は水田土壌へのリン酸施肥量 (0.2-0.5 g P /kg乾土) と同レベルであることから、農耕地においてSeの移動性はリン施肥による影響を受けるものと推察された。\nさらに、全国の土壌について、Kd-Se値の地理的傾向を調べるため、放医研で開発した土壌中元素濃度データベース及びマッピングシステム(Mapping system and database of Soil distribution for element and radionuclide:MdSoiL)を用いてKd-Se値の等値分布図を作成した。Kd-Se値は東北日本において比較的高い値が多く、中国、四国および近畿地方では低い傾向があり、この傾向は黒ボク土の分布と一致した。このように、マッピングシステムを活用することにより、Kd-Seの測定値が無い地点についても、地域的なSeの収着レベルをある程度予測できると考えられる。\n謝辞\n本研究の一部は、資源エネルギー庁放射性廃棄物共通技術開発調査費の予算で行われた。\n引用文献\n浅川征男, 串崎光男, 石塚潤爾,1977. 草地におけるセレンの分布と動態に関する研究 (第2報) 我が国の主要草地における土壌のセレン含量について. 日本土壌肥料学雑誌, 48, 287-292.\nNakamaru, Y., Tagami, K. Uchida, S., 2005. Distribution coefficient of selenium in Japanese agricultural soils. 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