@misc{oai:repo.qst.go.jp:00060233, author = {野島, 久美恵 and 野島 久美恵}, month = {Dec}, note = {宇宙放射線には、銀河宇宙線や太陽フレアにより発生する高エネルギーの重粒子線が多く含まれている。地上では大気や地球磁場に遮られるために、重粒子線による直接の影響は受けない。しかし、遮蔽のほとんどない宇宙空間に滞在した場合には、生物に対する放射線影響の中で重粒子線の占める寄与は大きくなる。NASAでは火星への有人飛行計画など、地球の磁気圏から完全に離脱し長期間宇宙に滞在するという飛行計画が進められつつある。この計画の中では、高エネルギー重粒子線が生体にどのような影響を及ぼすかについての研究が重要かつ優先的な課題とされている。このような高エネルギー重粒子線による影響研究は世界でも数箇所の大型加速器を持つ施設でしか行うことが出来ない。NASAは、宇宙放射線の研究をするために、ブルックヘブン国立研究所にNSRL(NASA Space Radiation Laboratory)を建設し、本年10月より実験を開始した。放医研のHIMAC実験施設では、陽子、ヘリウム、炭素、ネオン、シリコン、アルゴン、鉄などの重粒子を最大500MeV/uまで加速し生物実験を行うことが出来る。放医研では平成6年より実験を開始し、これまで国内外から26課題の宇宙放射線影響に関連する基礎的研究が行われてきた。  我々は、HIMACから得られる高LET粒子線をマウスの細胞および個体に照射し、長期宇宙滞在に際して宇宙環境による影響がもっとも懸念されている神経細胞への影響や脳神経系の高次機能への影響について検討してきた。また、免疫に代表される生体防御・調節機能にもっとも重要な造血器官に対する影響に関しても、LETの大きさによる放射線応答の相違について調べてきた。脳神経系や造血器官ともに重粒子線の影響はX線やγ線と異なる効果を示した。特に、核種やそのエネルギーに依存した相違(LET依存性)が認められ、ある特定のレベルのLETでは強い効果が認められることがわかった。  我々の研究により、宇宙滞在期間中に宇宙飛行士が受ける重粒子線のイオン種やそのエネルギーの違いにより人体に対する影響にはかなりの相違が認められることがわかった。宇宙空間では、放射線被ばく線量の計測に加えて、核種の同定とそのLETの測定が生体への影響を考察する上で重要な情報源となることが示唆された。また、高LET放射線はターゲットの細胞や臓器によりその効果には大きな相違がある。このことから長期宇宙滞在による宇宙放射線の人体へのリスク研究は、宇宙空間での生物実験や長期的な計測実験とともに、地上での高LET放射線をシミュレートした環境による基礎研究が重要なヒントをもたらすものと考えている。, 宇宙からヒトからヒトを眺めて}, title = {地上での宇宙放射線研究}, year = {2003} }