@misc{oai:repo.qst.go.jp:00059870, author = {山内, 正剛 and 山内 正剛}, month = {Dec}, note = {現在、地球上には3000万種類ともいわれる様々な生物が棲息しているが、これらはすべて35〜40億年という気が遠くなるような長い生命の歴史の結果である。太古の海で生まれた始原生命体がどのようなものであったかについては諸説が論じられているが、未だに不明である。原始生命は、原始地球環境中に豊富に存在した物質の代謝により、生命活動に必要なエネルギー代謝を行っていたと考えられている。現在も生存し続けているメタン細菌やイオウ細菌などの古細菌はその代表例であり、これらの生物種が誕生し繁栄した当時の地球環境を想起させる。。 生物の進化の歴史は、極限環境への適応の歴史であった。当時のほとんどの生物を絶滅に追いやった地球規模的な環境の変化のひとつは、約30億年前のシアノバクテリアの誕生である。シアノバクテリアによる光合成は遊離酸素を生み出し、猛毒の酸素が存在する環境中でも棲息できる細菌類への進化が始まり、より高いエネルギー生成効率を有する真核生物の誕生へと続く。メタン細菌やイオウ細菌などの古細菌は、現在では嫌気性細菌に分類されており、極めて限られた場所においてのみ棲息可能な環境を見出す。真核生物への進化は、多細胞生物の誕生へと続いた。 運動能力の獲得により、捕食能力を高め、生息域を拡大した魚類は、やがて河口付近で最初の背骨を持つ生物である硬骨魚類へと進化した。これは、ミネラル含有量がはるかに少ない淡水域、すなわち海生生物にとっては極限環境への進出に必要な能力を獲得するためであったと考えられている。現在の海に生息する硬骨魚類は、すべて淡水域で進化した硬骨魚類の子孫であると考えられている。ミネラル成分の体内貯蔵庫として獲得した背骨は、同時により高い運動能力を提供することとなり、やがては人類へと続く脊椎動物が生存競争を勝ち抜いていく。 魚類から両生類への進化は、肺呼吸という能力を獲得することによる水棲生物にとって極限環境である陸上へと行動範囲を拡大するための適応であった。両生類は四肢を獲得することにより、重力に対して打ち勝つ能力も獲得したと考えられている。 両生類から爬虫類への進化は、両生類の繁殖には不向きな乾燥という極限環境において生活し繁殖するために有利な適応であったと考えられている。 しかしながら、絶滅の理由が良く分からない化石生物も多い。たとえば、三葉虫などは隆盛を誇る時期が何億年も続いたにもかかわらず、ある年代を境にして進化の歴史から突如として姿を消した生物の代表例である。 ここでは、生物の進化の歴史を概観することにより、軌道上の微少重力環境や宇宙空間または深海域などの極限環境への適応について、進化学的な観点から考えてみたい。, 第2回放医研放射線安全研究センターシンポジウム}, title = {極限環境における生物の適応}, year = {2002} }