@misc{oai:repo.qst.go.jp:00059052, author = {村松, 康行 and 吉田, 聡 and Fehn, Udo and 村松 康行 and 吉田 聡}, month = {Oct}, note = {ヨウ素の循環における謎: 地殻に含まれるヨウ素の約7割は海洋堆積物中に存在すると推定される(Muramatsu & Wedepohl, 1996)。これは、海水中のヨウ素が藻類等に取り込まれたり、沈降粒子と共に海洋底に移行し堆積物中に濃縮されるからである。また、海水中のヨウ素は微生物によりメチル化され大気中に放出されている。しかし、これら海洋からのヨウ素の流出量は、河川及び雨水を通じた海洋への流入量に比べはるかに大きい。ヨウ素の地球化学的循環を考える時、この海洋への流入経路がMissing Linkとなっている。 前年度の発表でも述べたが、我々は、海洋プレートの沈み込みに伴い前弧域でヨウ素の一部叉は多くが海底堆積物から間隙水と共に絞り出され、海洋や地層中に放出されると推定した。そして、千葉の上総層群中などに産出する高濃度のヨウ素とメタンを含んだ鹹水がは、長時間をかけ海底堆積物中に濃縮したヨウ素やメタンが沈み込みの過程で移動してきたものと考え、ヨウ素の年代は周りの堆積物に比べはるかに古いという仮説をたてた。それを立証するためにI-129を用いた年代測定をおこなった。また、鹹水の詳しい化学組成や幾つかの安定同位体組成も調べた。 ヨウ素-129年代測定法: 自然界でのヨウ素-129(半減期:1570万年)は、Xeと宇宙線との反応やUの自発核分裂などにより作られている。それら生成されたI-129は海洋に移行すると考えられる。海洋におけるヨウ素の滞留時間は非常に長いため、海水中のI-129と安定ヨウ素(I-127)は均一に混ざり、その比はほぼ一定に保たれていると推定される。Moranら(1998)は海底堆積物の詳細を調べた結果から、海洋中での平衡状態における安定ヨウ素との比(I-129/I比)を1500x10-15と見積もっている。海水から隔離されると、新しいI-129が供給されないため129I/I比は半減期に従い減少する。そこで、I-129/I比を正確に測ることにより、ヨウ素の年代が求まる。(ただし、現在は核実験で放出されたI-129により海洋中の129I /I比は数桁高くなっているので、それからの汚染がある試料では年代測定は難しい。)ヨウ素-129の測定は加速器質量分析器(AMS;Purdue大/Rochester大)を用いて行った。 測定結果: 上総層群中から得た鹹水14試料中のヨウ素の濃度の平均は130ppm(範囲:102-143 ppm)で、海水の平均値(0.057 ppm)に比べて約2300倍濃縮しており、Mn, Ba, NH4+等も比較的高い値を示した。一方、SO42- とUは海水の1/100以下と低い濃度であった。 ヨウ素-129の測定結果は11試料の平均として、I-129/I比 173±10 (x10-15)であった(範囲:153 - 188 (x10-15))。この値から計算した鹹水中のヨウ素の年代は約5000万年である。これは、上総層群でヨウ素が産出する地層(100-200万年)に比べはるかに古い値である。このことは、ヨウ素は、その堆積物に起源を持つのではなく、他から移動してきたことを意味する。また、千葉県以外の地域に産出する鹹水中のヨウ素の年代測定も行った。これらの結果を基に、鹹水中のヨウ素の起源とヨウ素の地球化学的循環について考察する。また、メタンの起源との関係についても触れる。, 日本地球化学会第48回年会}, title = {I-129を用いた年代測定:ヨウ素の地球化学的循環を探る指標として}, year = {2001} }