@article{oai:repo.qst.go.jp:00058575, author = {藤林, 康久 and 藤林 康久}, journal = {がんの分子イメージング}, month = {Sep}, note = {ポジトロン断層撮影法(positron emission tomography, PET)は,放射線医学画像診断法の一つである. 放射線医学画像診断は大きく二つに分けられる. 一つは放射線を出す線源を体外におき,そこから出た電磁波放射線(X線)が生体を通り抜ける際に部位ごとに異なる吸収を受けることを利用して各部位の放射線吸収の度合いを画像化する,レントゲン撮影やX線CTである. もう一つは放射性同位元素で標識された薬剤を生体内に投与し,その薬剤が特定の組織に集積・結合する挙動を画像化するPETやSPECT(単光子断層撮影法, single-photon emission computed tomography)である. 一般に原子核を構成する陽子と中性子の数がほぼ等しい場合,原子核は安定となるが,いずれかが他方に比べて多い場合,原子核は不安定(放射性同位元素)となり,粒子やエネルギーを放出することで安定な比率をもつ原子核(安定同位元素)へと変化していく. これを放射壊変と呼ぶ、PETでは,陽子過多となっている放射性同位元素が放出する陽電子(ポジトロン)を利用する。ポジトロンは反物質であり,基本的にはこの世には存在できないため,周辺に存在する陰電子(エレクトロン)と衝突し消滅する. この際に消滅した二つの電子(ポジトロン,エレクトロン)の質量に一致するエネルギー(511 keV)をもっ電磁波放射線(消滅放射線と呼ぶ)が180°逆方向に2本放出される. PETは,これを円周状に設置Lた放射線検出器の対向する一組で同時検出し,放射性同位元素分布を定量的画像とするものである(図Ⅰ.Ⅰ).PETに用いられる主な放射性同位元素を表Ⅰ.1に示す.これらの元素はさまざまな生体成分,生理活性物質,医薬品成分を構成するものであり,原理的には生命活動にかかわるすべての分子を放射能標識できることから, PE1;は疾患診断だけでなく,医薬品の開発や生命現象の理解につながる多くの生命科学分野での活用が期待されている. 陽子過多の放射性同位元素の製造には,サイクロトロンが用いられる.PETに用いられる放射性同位元素は,数~数十MeVに加速された陽子(プロトン)を原子 核に打ち込むことによって製造される.半減期が非常に短いため,放射性同位元素を病院内に設置されたサイクロトロンで用時製造した後,ただちに目的とする化合物を合成し無菌のPET用製剤としなければならない. これには, 十分な放射線遮蔽能力と無菌性を確保できるホットセル(図Ⅰ.2)と自動合成・製剤化装置が用いられる. 用時短時間製造とはいえ人体投与が前提であることから, PET用製剤の品質と 安全性の確保には最善を尽くすべきである.昨今は改訂臨床研究指針,マイクロドーズ試験ガイドライン,日本核医学会PET薬剤l製造指針などさまざまな基準が定められてきており,実施段階に応じたPET薬剤製造が行われていることはいうまでもないが,多岐にわたる学際的技術と知識が必要であり,さらなる人材の育成が望まれている.}, pages = {8--9}, title = {PETイメージング概論}, year = {2015} }