@article{oai:repo.qst.go.jp:00058337, author = {今井, 礼子 and 今井 礼子}, issue = {7}, journal = {臨床整形外科 = Clinical Orthopedic Surgery}, month = {Jul}, note = {重粒子線治療は放射線治療の1つである。一般に放射線治療に用いられているX線は電磁波であり、重粒子線は粒子線である。一般に重粒子とは、広義には電子より重い粒子をさす。そのなかで原子番号が2より重い原子核を加速器で高速に加速したものは「重イオン線」ともよばれ、重粒子線としての物理学的あるいは生物学的特徴を持っている。放射線医学総合研究所では1994年から重粒子線医療専用加速器:HIMAC(ハイマック、Heavy Ion Medical Accelerator in Chiba)を用いて、炭素の原子核を光速の80%に加速し、炭素イオン線による重粒子線がん治療を行っている。(便宜上、炭素イオン線を重粒子線と呼んでいる。)この重粒子線の特長は、1)線量の集中性に優れている、2)強い生物効果を持つ、に要約される。優れた線量の集中性とは、がん病巣に線量を集中させ周囲正常組織の線量は抑えることが出来るということである。一般の放射線(X線)の線量分布は入射後体内の浅いところで最大となり、深くなるにつれ徐々に減少するため、多方向から照射することで体深部にある標的の線量を保っている。深部にある腫瘍を照射する場合、腫瘍の手前も後ろも照射される。一方、重粒子線は体表面から入射後、標的までは低線量で進行し深部標的で停止する直前に一気にエネルギーを放出し最大線量を照射し、それより深部はほとんど照射されない。この特徴的な線量分布をブラッグピーク(Bragg peak)という。このBragg peakを病変部の深さや大きさに合わせ拡大することにより、周囲正常組織への線量を最小限に抑えつつ、体深部に存在する病変に対しては大線量を集中させることが可能になるのである(図1)。強い生物効果とは、重粒子線は飛程に与える電離密度が高いので高LET (linear energy transfer)放射線であり、X線は低LET放射線であることが関係している。細胞実験において、重粒子線照射によるDNA損傷はX線のそれより強く回復しにくく、放射線抵抗性の細胞周期にあるがん細胞にも効果がある。陽子線もブラッグピークを持ち、線量分布は優れているが、低LET放射線であるので、生物学的効果はX線とほぼ同じである。}, pages = {705--708}, title = {重粒子線治療イントロダクション}, volume = {48}, year = {2013} }