{"created":"2023-05-15T14:42:25.928935+00:00","id":58157,"links":{},"metadata":{"_buckets":{"deposit":"5c51cd0c-eb2f-4356-ad01-9474dd0d0fcc"},"_deposit":{"created_by":1,"id":"58157","owners":[1],"pid":{"revision_id":0,"type":"depid","value":"58157"},"status":"published"},"_oai":{"id":"oai:repo.qst.go.jp:00058157","sets":["11"]},"author_link":["583441","583444","583438","583437","583439","583443","583440","583445","583446","583442"],"item_10004_biblio_info_7":{"attribute_name":"書誌情報","attribute_value_mlt":[{"bibliographicIssueDates":{"bibliographicIssueDate":"2012-09","bibliographicIssueDateType":"Issued"},"bibliographicIssueNumber":"3","bibliographicPageEnd":"320","bibliographicPageStart":"313","bibliographicVolumeNumber":"47","bibliographic_titles":[{"bibliographic_title":"放射線生物研究"}]}]},"item_10004_description_5":{"attribute_name":"抄録","attribute_value_mlt":[{"subitem_description":"2012年6月29日(金)に第41回放射線による制癌シンポジウム-基礎と臨床の対話-「領域を支える若手研究」、6月30日(土)に第50回日本放射線腫瘍学会生物部会学術大会が沖縄県宜野湾市にある健康文化村カルチャーリゾート フェストーネで行われ、約100名の参加者が集まった。放射線による制癌シンポジウムは招待講演による二つのセッションで構成され、午前の部は「放射線治療に資する転移研究」午後の部は「粒子線治療のための物理学、化学、生物学」というテーマで行われました。翌日の日本放射線腫瘍学会生物部会学術大会は一般公募で集った講演(28演題)で構成されました。\n 放射線による制癌シンポジウム午前の部(セッション1)は「放射線治療に資する転移研究」というテーマで企画者の松本孔貴先生(放医研)がオーバービューを行い、転移研究の歴史的な背景を説明され、後に続く講演者の研究テーマ紹介を行った。最初の演者である増永慎一郎先生(京大)は今までご自身で行ってきた休止期細胞と増殖期細胞の放射線応答について、さらに急性・慢性低酸素と休止期細胞と増殖期細胞の転移について、局所制御の研究と遠隔転移の研究を合わせて講演された。続いて皆巳和賢先生(阪大)が所属研究室で行われてきた転移研究の歴史を紹介され、炭素イオン線を用いた転移影響研究では、炭素イオン線が転移抑制に有効なメカニズムについて解説された。鷲山幸信先生(金大)は、アイソトープを用いた癌治療研究について触れ、分子イメージングと分子標的治療を組み合わせた特徴的な治療であることを解説された。またアイソトープから放出されるα線の生物効果とその有用性について、骨転移を例に説明された。総合討論は松浦成昭先生(阪大)が座長として進行され、臨床データを用いて転移に対する放射線治療の展望について講演された。\n 昼食はレストランにてバイキング形式となっていた。午後の部(セッション2)は「粒子線治療のための物理学、化学、生物学」というテーマで著者が企画させていただいた。狙いは、基礎と臨床の対話を大事にしてきたシンポジウムの性質を考え、粒子線治療に関わる基礎科学分野の先生方と臨床の先生方の意見交換であった。オーバービューとして鎌田正先生(放医研)に、粒子線治療施設の世界情勢について報告していただいた。ますます粒子線治療が癌治療にとって重要な治療法の一つとなっていることを感じた。放射線治療にとって重要な4R(Repair/Recovery、Repopulation、ReoxygenationならびにRedistributionの頭文字)の粒子線の特徴、放医研での臨床結果や基礎研究について紹介していただき、「なぜ治る、なぜ治らない、より良く直す」ことを常に考えることが臨床ならびに基礎研究において、重要であることを講演された。河野良介先生(がんセンター東)は医学物理士の立場として、臨床への基礎研究の重要性について講演していただいた。河野先生は医学物理の臨床における役割について常に考え、粒子線治療におけるチーム医療の重要性を説明された。休憩を挟んで、山下真一先生(原子力機構)には、放射線化学の目線で主に粒子線生物学における化学の重要性について講演していただいた。粒子線特異的な線量付与の空間的・時間的分布の理解が粒子線生物応答に非常に重要であり、マイクロドシメトリーを含めた化学的アプローチが粒子線生物学に対する化学の役割であることを実感した。また、臨床研究を支える生物研究の基盤にはこのような放射線化学の研究が欠かせないことも触れられた。高橋昭久先生(群大)はご自身の重粒子線生物研究であるDNA損傷修復とアポトーシスやオートファジーといった細胞致死に対する重粒子線の特徴を紹介され、がん幹細胞についても触れられた。重粒子特異的な多岐にわたる生物応答の機構解明が今後より一層期待される内容であった。総合討論は中野隆史先生(群大)が座長をされ、臨床研究を支える基礎科学研究が重要であることを、臨床医の立場から語っていただいた。さらに陽子線と炭素線の違いについても言及され、粒子線科学の奥の深さを感じた。\n 引き続き生物部会定期総会が開かれ、次回開催ホストである細井義夫先生(広大)が挨拶された。その後、懇親会が開かれ沖縄料理が振る舞われ、にぎやかに議論が行われた。\n 翌日は第50回日本放射線腫瘍学会生物部会学術大会が朝9時から始まり、近藤隆先生(富大)が大会の挨拶をされた。生物部会の役割として、5つの大きな項目(?研究の発展、先鋭化、臨床への貢献、?教育の貢献、放射線生物学セミナーの開催、?放射線治療生物学の普及・均てん化、?世代継承、?学会としてのプレゼンスの確立+α)を取り上げ、生物部会の今後の発展に必要とされる5つのキーワード(?学術大会の充実、?魅力ある内容の発表、?部会会員の“知恵”の結集、?先端生物学の導入、?融合化・総合化)を話され、各セッションが始まった。\n セッション1では「診断・低酸素・組織障害・適応応答」という枠組みで、播磨洋子先生(関医大)がmiRNAを使って、二つの因子の高発現が子宮頸がんの予後因子として有用であること、またmiR-200aはE-cadherinとの関与が報告されており、転移との関連性についても報告があった。鍵谷豪先生(北里大)はTempolよりも細胞毒性が低いCarbamoy-PLOXYLの低酸素特異的な化合物の影響評価を行い、遺伝子治療への応用について講演された。牛島弘毅先生(群大)はmTOR阻害剤を用いて細胞致死への増感効果を調べ、OERが1.1にまで減少することを確認し、低酸素増感剤としての有用性を発表された。今枝真澄先生(群大)はラット放射線誘発肝障害モデルの作成を行い、肝線維化に着目した組織学的変化を発表された。芝本雄太先生(名市大)は適応応答について、過去の研究例の検証を含め新しい実験系での低線量放射線影響研究について言及された。\n セッション2では「転移・RI」に関する演題で、前澤博先生(徳大)が非照射群と照射群とではp53ステータスで生物影響が異なることを報告された。安藤謙先生(群大)は炭素イオン線と樹状細胞の腫瘍内注射との併用療法で、免疫系を刺激することで、転移が抑制されることを報告された。松本孔貴先生(放医研)は炭素線の転移抑制効果は分割回数にかかわらず、X線よりも有効であることを示された。橋本和幸先生(原子力機構)は急遽発表できなくなった花岡宏史先生(群大)に代わって講演し、177Lu標識抗体の高い腫瘍集積を紹介し、がん治療に有効な治療法としての基礎データを示された。\nセッション3は「HSP90・薬剤」をテーマとして、若佐谷拓也先生(弘大)が液晶性化合物(LCRC-1)は細胞腫によってカスパーゼ依存性のアポトーシスを誘導することを報告された。瀬川達矢先生(茨城医大)はHsp90阻害剤PU-H71の特徴はRad51の発現量を減少させ、DNA損傷修復の低下が増感効果のメカニズムであることを示唆された。榎本敦先生(東大)は17AAGが遺伝子レベルで転写抑制をしていることを明らかにされた。陳剣先生(放医研)は炭素線とtemozolomideの併用効果を調べ、細胞の遊走能に併用効果が有効である可能性を報告された。森田明典先生(広大)は8-キノリノール誘導体であるKH-13の放射線防護作用について講演された。\nお昼はランチョンセミナーとして古川雅英先生(流大)による特別講演「放射線で見る沖縄の古環境と海底遺跡」が行われた。宮古島の空間ガンマ線量がバックグラウンドよりも2倍程高い理由として、島尻マージ(赤土)が関連していることを発表された。また、葛飾北斎の「琉球八景」に雪景色がある(那覇市奥武山)ことを指摘し、琉球・沖縄でも雪、霙、霰、雹が観察された記録が1774年の資料に残っていることを報告された。火山噴火によって太陽光が遮断されて気温が下がり、1万年前にも沖縄に雪が降った可能性を指摘された。さらに驚いたのは、琉球八景に富士山が映っていたことである。これは北斎の洒落なのだろうか?\n午後のセッション4は「脳・幹細胞・免疫」というテーマで、小此木範之先生(群大)はマウス全身照射では観察されなかった骨髄から脳内に移行してミクログリア様の性質を示す細胞がX線頭部照射のみで観察されたことを報告された。Wenling Ye先生(IMPCAS)は炭素線によるglioma癌幹細胞影響について発表していただく予定であったが、来日ができなくなったため講演をキャンセルすることになった。門前暁先生(弘大)はDNA損傷の程度と分化における表面抗原発現は、必ずしも分割回数に依存しないことを報告された。吉野浩教先生(弘大)は放射線が受容体発現さらにそのリガンドである病原菌関連分子に対する応答に影響することを報告し、分化との関連性についても議論された。吉本由哉先生(群大)はEL-4リンパ腫特異的な放射線免疫の獲得を観察され、放射線によって獲得した抗腫瘍免疫が局所制御にも有効であり、放射線治療効果の一部は免疫による可能性を指摘された。\nセッション5は「細胞周期・モデル」というテーマで、戒田篤志先生(医科歯科大)はX線照射後in vivoではG2アレストが延長し、これに腫瘍内微小環境が大きく影響していることを報告された。近藤隆先生(富大)は古澤之裕先生(富大)の代わりに講演し、X線照射に対する生物応答にTAK1が重要な役割を持ち、p21を介して細胞周期、抗アポトーシスに関与することを報告された。関根広先生(慈恵大病院)は時間因子を考慮し分光測色計を用いて皮膚紅斑を定量できるようになった新しいモデルを紹介された。和田麻美先生(放医研)は従来のLQモデルでは分割照射の効果をうまく表現できない(実験値と大きく異なる)ため、PLDRを加味する必要性を強調された。最後に著者が3次元スキャニング照射法を用いると物理工学の側面からの治療の高度化に加え、生物学的なメリットもあることを報告した。\nコーヒーブレイク後、セッション6の「修復・炭素線分割照射」では中島菜花子先生(放医研)は細胞分裂を調節するEmi1を重粒子線と併用することで増感効果が表れることを報告された。隈部篤寛先生(慶大)は川田哲也先生(慶大)に代わって講演し、NHEJの正確性が細胞周期非依存性であることを報告された。吉田由香里先生(群大)は炭素線治療の分割照射によって正常組織と腫瘍との反応違いが誘導され、治療利得することをマウス実験結果から説明された。また、高LETによる多分割照射が有効である可能性を示された。吉川正信先生(東海大)は舌粘膜上皮障害を指標にした炭素線RBEは腸管クリプトから求めたRBEとほぼ同じ値であることを報告された。D-メチオニンは急性期のみならず慢性期の放射線防護効果を有することが示され、口腔内正常組織障害の防護薬としての可能性が示唆された。\n すべての演題がほぼ予定通りに終了し、実行委員長である松本孔貴先生のすばらしい総括と挨拶で2日間の大会が無事終了しました。\n 本大会をつつがなく運営終了できましたのも一重にご参加頂いた会員の皆様、招聘に快く応じて講演頂いた非会員の先生方、さらに企画段階から種々ご助言を頂いた近藤隆会長、前部会長三橋紀夫先生、前回大会の事務局長染谷正則先生、加えてバックアップ頂いた各企業、団体の方々のお蔭と存じ、あらためて皆様に厚く御礼申し上げます。","subitem_description_type":"Abstract"}]},"item_10004_source_id_9":{"attribute_name":"ISSN","attribute_value_mlt":[{"subitem_source_identifier":"0441-747X","subitem_source_identifier_type":"ISSN"}]},"item_access_right":{"attribute_name":"アクセス権","attribute_value_mlt":[{"subitem_access_right":"metadata only access","subitem_access_right_uri":"http://purl.org/coar/access_right/c_14cb"}]},"item_creator":{"attribute_name":"著者","attribute_type":"creator","attribute_value_mlt":[{"creatorNames":[{"creatorName":"平山, 亮一"}],"nameIdentifiers":[{"nameIdentifier":"583437","nameIdentifierScheme":"WEKO"}]},{"creatorNames":[{"creatorName":"山下, 慶"}],"nameIdentifiers":[{"nameIdentifier":"583438","nameIdentifierScheme":"WEKO"}]},{"creatorNames":[{"creatorName":"尾崎, 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