@article{oai:repo.qst.go.jp:00055572, author = {池田, 恢 and 遠藤, 真広 and 福村, 明史 and その他 and 池田 恢 and 遠藤 真広 and 福村 明史}, issue = {1}, journal = {医学物理}, month = {Sep}, note = {概 要 平成16年4月14日、福島県会津若松市の財団法人竹田綜合病院において、放射線治療時の過小照射事故の発生が明らかとなった。同病院は、この事態を会津保健所に報告するとともに、医学放射線物理連絡協議会に対し、外部機関として事故調査を実施するよう依頼した。当協議会は、本件の原因究明と類似事例の再発防止を目的として、平成16年5月18日および同年10月19日の二度にわたり現地へ調査団を派遣した。 事故の概要は次の通りである。 東北各地で発生した放射線治療における過誤照射事故を受け、同病院では投与線量の妥当性を検証する目的で吸収線量の実測調査を行った。その過程において、測定に使用した線量計には組織最大線量比(TMR)を補正する設定がなされていたことが判明した。この設定では、校正深に電離箱を設置すると線量計は自動的に最大深の線量を表示する。換言すれば、電離箱位置における線量を求める際には、この設定により校正深のTMRの逆数倍だけ過大な数値が線量計のデジタル部に表示される。ところが現場の担当者にはこの点についての認識が欠けていた。 同病院では約8割の症例に対し治療計画装置によりリニアックのモニターユニット(MU)値を決定している。しかしそれと並行して残りの約2割に対しては、電離箱をファントム内の腫瘍の位置に相当する点に設置し、実測に基づきMU値を決定していた。上記の認識不足は、電離箱位置すなわち腫瘍相当位置での単位MU値あたりの線量に対し過大評価を招くことから、結果的に後者の全ての症例に対し過小照射が疑われた。こうした事態はリニアックおよび線量計が新たに導入された平成11年より継続し、過小照射が疑われる患者数は256名に上ったが、幸いなことに実際に過小照射の影響が懸念される患者は数名にとどまった。  最近の放射線治療事故では、装置の更新もしくは人事異動に伴い誘発される傾向が見られる。本件もその例外ではないが、これまでに報告された事故の多くが治療計画装置の入力ミスに起因しているのに対し、本件では線量計の設定についての理解が不十分であった点が特徴的であると言える。  放射線治療の品質管理の一環として実測による投与線量の検証の重要性が強調されてきた。今回の事故は、その実測にも盲点が存在し過誤照射を引き起こす可能性があることを示した。このような事故を防止するには、線量計に表示される値を鵜呑みにすることなくその意味や使われ方を各現場で再確認することが重要である。また実測のみならず計算によるターゲット線量の独立検証も励行されるべきである。  言うまでもなく放射線治療では処方線量に対して±5%の範囲内での線量投与が要求される。今般、相次ぐ過誤照射事故の多発を受け、放射線治療品質管理機構が設立され、放射線治療品質管理士認定制度がスタートした。各現場においてはこうした枠組みを活用し、統合的で実効性のある品質管理、品質保証の体制を早期に確立することが望まれる。また、それらを促すためのインセンティブの付与、あるいは再発を未然に防ぐ、エラーについての報告システム、第三者によるチェック体制の確立等も今後の重要な検討課題であろう。放射線治療の安心と信頼を獲得するために関係者のさらなる奮起を期待したい。}, pages = {36--45}, title = {竹田総合病院における過小照射事故の原因及び再発防止に関する調査報告書}, volume = {27}, year = {2007} }