@article{oai:repo.qst.go.jp:00055239, author = {野島, 久美恵 and 野島 久美恵}, issue = {86}, journal = {放医研NEWS}, month = {Jan}, note = {重粒子共同利用研究は平成6年から始まりました。毎年12月と6月に研究の課題募集をおこない。それぞれの課題は学会推薦や専門分野による外部委員の先生で構成されている課題採択委員会をへて生物班では毎年約60課題が採択され研究が行われています。  重粒子共同利用の生物実験は、平日は夜9時から朝7時まで、土日は朝9時から夜7時までの間に行われます。時には土日の昼夜を使った連続実験を行うこともあります。実験者は、全国・世界各地からそれぞれのマシンタイムに合わせて放医研に集まってきます。九州や関西方面から最終の電車で来て始発の電車で帰る実験者、発泡スチロールにサンプルをたくさん入れて、4箱くらい抱えて新幹線に乗ってくる実験者、時間がもったいないからと1週間連続で実験して行く実験者、照射とサンプル調整のタイミングが微妙な実験を行っているため3日間眠らず徹夜して実験する実験者など、放医研の重粒子線を使わなければできない研究のためにみんな頑張っています。  そんなこんなで行われてきた研究も10年目に入り、のべ242課題もの研究が行われ、それぞれの分野である程度まとまった結果が得られてきました。そこで、重粒子共同利用研究生物班では、重粒子線治療の基礎研究として行われてきた炭素線を用いた研究と放医研HIMACならではという重粒子線が生んだ新領域研究と大きく2つの大課題に分け、今までの課題をテーマ毎に分類し、まとめてお話しして頂きました。また、実際に生物照射室に供給している重粒子線について、生物実験を行う上で知っておきたい知識として、拡大ビーム(SOBP)の性質や高LET放射線照射実験の際の照射位置でのLETや粒子成分について専門の物理グループの先生に話して頂きました。最後に総合討論として、「これからのHIMAC生物研究への展望」という題で、課題採択・評価委員の先生をコメンテーターとして、それぞれの専門分野から、今後推進すべき研究課題などについて提案を行い、その後、参加者とともに活発な討論が展開されました。  プログラムの内容は、1日目には主として重粒子線治療の基礎的研究として炭素線を用いた研究について「分割照射効果」、「ラジカルとP53」,「腫瘍治癒」、「発がん」、「炭素線のRBE」、「治療に関する生物研究」、「治療から生物研究に期待すること」と7つのテーマに分けました。また、「SOBPのLET」として、HIMAC290MeV/u6cm拡大ビーム(SOBP)の作成方法や特性についての基礎知識を学びました。  2日目は、重粒子研究が生んだ新領域研究(LETムRBE)と題して、「修復のメカニズム」、「細胞死と染色体」、「突然変異」、「酸素効果」、「DNA障害」、「高LETの問題」の6つのテーマに分けて、HIMACの重粒子線を使わなければ出来なかった高LET放射線生物学の新しい分野の発見などが示されました。また、1日目に引き続きHIMACの生物照射室で実験に供給されるビームについて、提供しているLET値の計算の原理やサンプル照射の位置でのビームの性質などについての基礎知識を学びました。  最後に、「これからのHIMAC生物研究」と題して総合討論を行いました。8名のコメンテーターそれぞれから今後の展望について意見が述べられ重粒子共同利用生物研究のこれからの10年に向けて推進すべき点が提案されました。臨床の面からは、重粒子線治療が11月1日より高度先進医療として承認されたこともあり、炭素線治療の有効性の証明や、治療成績向上のための新たな治療方法の提案、などが基礎生物研究側の役割であること、それには生物研究者と臨床医との間で信頼関係を持った交流が必要なこと、得られた研究成果を適切に評価して発展させるような放医研主体のマネジメントの強化が必要であることも指摘されました。炭素以外の粒子種を使った代表的な研究として宇宙放射線の研究があります。HIMACは、宇宙放射線のシュミレーション研究が行える世界でも数少ない施設であり、これまでに国内外の研究者により多くの宇宙放射線研究の実験課題が遂行されてきました。NASAは、HIMAC生物実験室をモデルに、本年度NSRLという宇宙放射線研究のための施設を作り実験を開始しました。HIMACでは今後、宇宙環境レベルの低線量率連続照射実験や重力場との相互作用研究の為の新たな実験整備を行うことにより、宇宙放射線の地上対照実験施設として、大きな成果がもたらされる事が期待されているという提案もありました。 所感:金・土の2日間でしたが100名弱の方が参加し、とても熱のこもった活発な討論がくりひろげられました。本ワークショップは、これまでの研究の成果を通してRadiation Biologyとは別にHIMAC独自のHeavy-ion Biologyという新しい分野の息吹を感じさせるような内容の濃い研究集会になりました。}, pages = {3--3}, title = {活況を呈した重粒子共同利用生物班ワークショップ}, year = {2004} }