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内容記述 |
【目的】神経病理学的にCOVID-19感染後も遷延する嗅球の炎症による萎縮が知られ、嗅球および関連する脳領域への炎症刺激が、神経変性疾患の発症に寄与する可能性が推定されている。今回我々は、COVID-19罹患後症状を伴う(Long-COVID)患者を対象にMRIで嗅球萎縮 (OBA) を定性・定量的に評価し、MAO-B PETと血液バイオマーカー、臨床所見との関連を明らかにした。【方法】対象はLong-COVID患者15名 (男性9名、42.6±10.0歳)、および年齢・性別を調整した健常者 (HC) 13名 (男性8名、37.8±12.7歳) である。3T MRI装置を用いて3D-T2WIを撮像し、嗅球を評価した。定性評価 (冠状断像) は、嗅球形態をGrade1-3の3段階で評価し、Grade 1または2をOBAなし、Grade3はOBAありと判定した。定量評価では、ITK-snapを用いて嗅球体積を評価し、全頭蓋内容積 (ICV) で補正した (OBV/ICV ratio) 。MAO-B PETとして11C-SL25.1188を撮像し、FreeSurferにて各脳領域の集積値 (VT) を評価した。定性評価の群間比較にはカイ二乗検定、定量評価の群間比較にはt検定/Mann-Whitney U検定を用いた。【結果】定性評価では、OBAをLong-COVID群の8例 (53.3%) に認めたが、HC群では認めなかった (p<0.01)。OBV/ICV ratioによる定量評価では、Long-COVID群はHC群に比して有意に低下し (2.4±0.9 vs. 3.3±0.6 ×10², p<0.005)、OBAあり群はOBAなし群に比して有意に低下していた (1.8±0.3 vs. 3.0±0.6 ×10², p<0.005) 。さらに、OBAあり群はOBAなし群と比較し、血中GFAPは有意に上昇し (80.9±21.1 vs. 54.2±14.5 pg/mL, p<0.05)、扁桃体および橋のPET集積は有意に上昇した(扁桃体;39.9±5.2 vs. 34.7±2.5, p<0.05、橋;32.4±2.8 vs. 28.6±1.9, p<0.05)が、神経心理検査結果には群間差を認めなかった。【結論】COVID-19罹患後症状を伴う患者における嗅球萎縮は、脳内に遷延する炎症を反映するMRIマーカーとなる可能性がある。 |