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内容記述 |
【緒言】試料溶液中の分析対象元素を何らかの吸着材に吸着させ,その吸着材そのものを蛍光X線 (X-ray fluorescence: XRF) 分析することにより,通常のXRF分析でよりも微量の元素が検出可能となる.本研究では,イミノ二酢酸キレートディスク (キレートディスク) に着目し,溶液中のウランを13 mm径に切り出したキレートディスクに通液して吸着させ,可搬型のエネルギー分散XRF (Energy dispersive XRF: EDXRF) 分析装置で分析した.【実験】13 mm径に切り出したキレートディスクを先行研究1)と類似した手法でコンディショニングした.これに,ウラン含有多元素標準溶液XSTC-4304 (Cs, Ce, Sm, Eu, Pa, Th, Uを10 μg/mLずつ含む) とXSTC-4305 (Zrを10 μg/mL含む) の混合溶液の各種希釈液 (U含有量 0, 50, 100, 150, 200, 250, 300 ng, 各n = 6)を通液してウランを吸着させ,可搬型EDXRF分析装置MESA-50 (堀場製作所) でEDXRF分析した.測定条件は,管電圧50 kV,管電流200 μA,一次X線フィルター素材はニッケル,測定時間は300秒とした.【結果と考察】EDXRFスペクトルには明瞭なU Lα線が観測された.これに対し,従来と同様の方法3)でピークフィッティングを行い,U Lα線のネット信号強度と,そのエネルギー領域のバックグラウンド信号強度を得た.U Lα線のネット信号強度はウラン量に比例し,また,得られた検出下限は約20 ngだった.これは,卓上型EDXRF装置における我々の結果1)と比較して,約2倍に相当する.このように検出下限が卓上型装置の場合よりも悪化したのは,MESA-50が可搬型装置であり,X線管出力が卓上型装置よりも低いためと考えられる.それでも,試料溶液を50 mLとした場合の検出下限濃度は0.4 ng/mLであり,EDXRF分析としては極めて良好な結果と言える.本研究は,原子力規制研究技術基盤構築事業費補助金(原子力規制研究の強化に向けた技術基盤構築事業)に基づいて行われた.1)吉井裕, 王慧, 柳澤右京, 松山嗣史, 酒井康弘, X線分析の進歩, 2025, 56, 219.2)吉井裕, 柳澤右京, 松山嗣史, 酒井康弘, 分析化学, 2024, 73, 359. |