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内容記述 |
ラパマイシンはmTORの阻害剤で癌増殖抑制や血管新生阻害など様々な効果を持つ。ラパマイシン及びその誘導体はすでに臨床で使用されているが、その多様な効果をin vivoで評価する方法が必要とされる。超偏極13C-MRIは偏極率を極端に高めた13C標識化合物を生体に投与し、13C-MRIを用いてその化合物と代謝物を計測する手法である。超偏極13C-MRIで最も多く使用されているプローブは[1-13C]ピルビン酸で、腫瘍内におけるピルビン酸から乳酸への代謝を指標として乳酸脱水素酵素(LDH)活性や抗癌治療の評価などが行われている。また近年、血管新生などに関わるアミノペプチダーゼN活性を評価するプローブ(APNプローブ、Ala-[1-13C]Gly-d2-NMe2)が報告された[1]。本研究では、これらピルビン酸とAPNプローブを用いた超偏極13C-MRIにより、扁平上皮癌(SCC)へのラパマイシンの効果を調べた。SCC細胞をマウス右足に植え、8日後(ラパマイシン治療前)と10日後(ラパマイシン治療後)に3T MRI(BioSpec Maxwell, Bruker)を用いて撮像を行った。ピルビン酸またはAPNプローブ溶液とOX063ラジカルを混ぜ、超偏極装置(SpinAligner, Polarize ApS)にセットして偏極を行った後、3.2 mLのbufferで溶出し、310 uLをマウスへ尾静脈投与した。13C-chemical shift imagingを連続で行い、得られたシグナル強度から腫瘍内のLDH活性及びAPN活性を評価した。その結果、コントロール群では8日後から10日後にかけてLDH活性及びAPN活性が優位に増加したのに対し、ラパマイシン投与群ではLDH活性が低下し、APN活性は変化がなく、腫瘍の成長に伴うLDH活性とAPN活性の増加をラパマイシンが抑制していることが示された。[1] Saito Y, Yatabe H, Tamura I, et al., Sci. Adv. 8 eabj2667 (2022) |